前回vol.11でご紹介したように、カーティス音楽院の入学試験に不合格となったニーナは、バーでピアノ演奏の仕事を始めます。
9時から翌朝4時まで、一時間につき15分休憩。
(賃金については、どこかで書いてある箇所を見つけたのですが、いますぐに見つからないので、見つけたらご報告します。)
クラシックのトレーニングを受けていた彼女は、「観客がどう思おうと、自分は素晴らしいピアニストであり、カーネギーホールやメトロポリタンオペラ劇場で演奏しているのだと、目を閉じて思うことに決めた」と書いています。
面白いのは、ニーナがこの夜のバーでの仕事と出逢うことによって、それまで半ば軽蔑していたポップスを演奏することになり、演奏に創造的な楽しみを見出していることです。
彼女にとっては、バッハやチェルニーやリスト(クラシックの音楽家)こそが音楽であり、ポップスは、才能のない生徒(!)の伴奏をして、レッスン代を稼ぐためだけのものだと思っていたと書いてます。
にも関わらず、ひとたびバーでピアノに向かって座ると、それまで彼女自身も知らなかった新しい音楽―ポップスとクラシックを融合したような、新しい音楽―が毎晩生まれてきたといいます。
初日の演奏を終えた彼女に、バーのオーナーがこう言います。
「君の演奏は気に入ったよ。だけど、ひとつだけ言いたいことがある。なぜ歌わないのかい?」
ニーナは、「わたしはピアニストですから」と答えるのですが、オーナーは、
「明日は、君は歌も歌うか、さもなければ仕事を失くすか、どちらかだね」
と言い、翌晩、ニーナは歌うことになります。
まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、今日はこのへんで。
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