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楽器としての身体

初心者のヴォーカルの生徒さんのレッスンでは、30分くらいストレッチや呼吸の練習にあてています。

 

どの楽器も身体が大切なのは同じだと思いますが、とくにヴォーカリストは身体自体が楽器なので、まずは自分の身体と仲良くなってもらうことが大切だと考えていますし、身体が変わること、気づきが深まることで精神も変わっていくと思います。

 

メンテナンスしていない楽器では、いい音は出ないように、楽器としての自分の身体の特性を知る、身体の声を聴く、というのはとても大切で、とくに歌は、ささいな気分の変化や不調もダイレクトに声にあらわれるので、身体の声に耳を傾けることが必須だと思っています。

 

・・・と偉そうなことを書いていますが、私自身、もともと身体は丈夫なほうではなく、しかもすぐに無理をしてしまう性質で、いままでにも、漢方のお医者様、整体の先生、東洋医学に詳しい友人や、セラピストの友人たちにたくさん助けてもらってきました。つい最近も、忙しかった時に診てもらった昔からの友人の医師に、もうすこし自分をいたわるように注意されたばかりです。

 

ただ、とにかくいうことを聞いてくれない自分の身体のことを邪魔者のように思っていた昔に較べると、歌うことを通じて、自分を大切にすること、心や身体の声を聴くこと、自分に優しくすることがずいぶん上手になってきたと思います。

 

普段の生活では、次にしなければならないことや、こういうときはこうしなければならない、など、社会的な役割や義務をこなすことに比重がおかれ、自分の身体の声はついついないがしろにしていることが多いと思います。

 

真面目な方ほどそれが強いと思いますが、レッスンでは、まずは深呼吸をして、いまこの瞬間に自分が感じていること、心や身体の感覚に意識を向けてもらうようにしています。

 

わたし自身にとっても、自分に向き合う大切な時間です。