Story

 

 

今から10年ほど前、大学時代からお世話になっていた栗田洋輔さんに背中を押していただいて、生まれた初めて書いた歌詞が、「マングローブの森へ(オリジナルのタイトルは Into The Mangrove Woods)」でした。栗田さんのアルム“ Sleepin' Sheep"のなかで一番好きな曲だとお伝えしたところ、歌詞を書いてみるよう励ましてくださいました。

 

瑞々しいソプラノサックスの音が奏でる旋律を聴いていると、緑の森のなかを美しい水が流れる風景が目に浮かび、言葉がどこからか降りてきてくれました。

 

その数年後、栗田さんの長年の盟友でピアニストの朱恵仁さんとおあいしたのがご縁で、 3人でライブをさせていただくようになり、おふたりの曲のいくつかに歌詞を書かせていただきました。一年ほど前、レコーディングすることを決めた当初は、いままでに歌詞を 書かせていただいたおふたりの曲を、3人だけで収録するつもりだったのですが、レコーディングをすることが決まってから、「拙くてもいいから自分でも曲を作って収録しよう」と いう想いが湧きあがってきました。

 

曲を作り始め、 “All Our True Colors" の最初のリズムとメロディーが浮かんだ時に、おふたりが10年以上継続されているバンド、Vermilion Fieldのメンバーの皆さんの音が聴こえてくるような気がしました。ドラムの松田“ゴリ”広士さん、ベースの長谷川晃さん、ギターの湯田大道さんに参加をお願いしたところ、多忙を極めるスケジュールにもかかわらず全員快諾してくださり、レコーディング二日目に参加していただけることになりました。

 

この曲のメロディーと歌詞は、Vermilion Fieldの皆さんのライブや、ライブが終わったあとにご一緒させていただいたごはんやお酒や会話から生まれたものです。 アルバムタイトルの「虹色の小舟」は「マングローブの森へ」の歌詞からつけました。 

 

ひととひとがであうことによって生まれる、色彩や陰影。 

 

音が流れる空間が、音楽と、聴いてくださるかたとのキャンバスになることを願っています。

 

 

2016年秋 日高由貴

 

 

 

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